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【読書日記23/22’】映画を早送りで観る人たち@稲田豊史 [読書日記]

稲田豊史著「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形」を読了。
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新聞の書評でこの本を知りました。その、書評に「今の若者はサブスク(Netflix、Amazon Prime Video、Disney+など)での動画配信や録画したドラマを1.5倍速、2倍速で観るのがトレンド」と書いてあり愕然としました。
映画好きのHCくんとしては、到底信じられない話。個人的には、映画はエンドロールを観終わるまでが映画。エンドロールで席を立つ方がいますが、エンドロールには作品にかかわった多くの方々が登場するので、リスペクトを込めて最後まで観ています。
それが、作品自体を1.5倍速、2倍速で観るとか、セリフがないところを飛ばして観るとかリスペクトのカケラも感じませんね。セリフがないシーンにこそ、その映画が伝えようとしている、映画監督や製作者らの意図が多々あるのにね。
感覚的には、美術館の芸術作品をスケボーに乗って観てまわるのと同じだわ。
本作では、映画を早送りで観る人たちやファスト映画(映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度にまとめてストーリーを明かす違法動画)を観る人・作る人について、大学生やZ世代にインタビューやアンケートを試み、現代社会をあぶり出す力作となっていて勉強になった一冊でした。

内容:現代社会のパンドラの箱を開ける! なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。

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