【読書日記14/24’】文にあたる@牟田都子 [読書日記]
牟田都子著「文にあたる」を読了。
学生の頃、漠然と「出版社とか本に関わる仕事がしたいな。」と思っていました。
当時、ROCKが好きで、”ミュージック・ライフ””音楽専科””ロッキングオン”を貪り読んでいたので、洋楽専門誌のライターとかに憧れていたんですよね。
けど、今や残っているのは”ロッキングオン”くらい。渋谷陽一って音楽評論のみならず、商才もあったのね。
話はそれましたが、本作の著者・牟田都子さんは今はフリーの校正者ですが、大手出版社で校正のお仕事をされていた方。
著者の書物へのとまらない想い、言葉との向きあい方、仕事に取りくむ意識が詰まった一冊で本や作家への愛が感じられました。
しかし、校正のお仕事って”てにをは”などや誤字脱字に朱書きするだけの(大変失礼)お仕事だと思っていましたが、校正の仕事を詳しく知ってびっくりしました。
校正者が行う緻密で繊細な仕事があるからこそ、一冊の本を手に取ることが出来ると、改めてその仕事に感心感服いたしました。
ちなみに、著者の牟田都子さんは、同じ校正者の旦那様と2ニャンで暮らしているみたいです。X(旧Twitter)で、ポストしているのを見るとホッコリしますわ。
内容:《本を愛するすべての人へ》人気校正者が、書物への止まらない想い、言葉との向き合い方、仕事に取り組む意識について——思いのたけを綴った初めての本。 〈本を読む仕事〉という天職に出会って10年と少し。 無類の本読みでもある校正者・牟田都子は、今日も原稿をくり返し読み込み、書店や図書館をぐるぐる巡り、丹念に資料と向き合う。 1冊の本ができあがるまでに大きな役割を担う校正・校閲の仕事とは? 知られざる校正者の本の読み方、つきあい方。 校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。 誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ。
学生の頃、漠然と「出版社とか本に関わる仕事がしたいな。」と思っていました。
当時、ROCKが好きで、”ミュージック・ライフ””音楽専科””ロッキングオン”を貪り読んでいたので、洋楽専門誌のライターとかに憧れていたんですよね。
けど、今や残っているのは”ロッキングオン”くらい。渋谷陽一って音楽評論のみならず、商才もあったのね。
話はそれましたが、本作の著者・牟田都子さんは今はフリーの校正者ですが、大手出版社で校正のお仕事をされていた方。
著者の書物へのとまらない想い、言葉との向きあい方、仕事に取りくむ意識が詰まった一冊で本や作家への愛が感じられました。
しかし、校正のお仕事って”てにをは”などや誤字脱字に朱書きするだけの(大変失礼)お仕事だと思っていましたが、校正の仕事を詳しく知ってびっくりしました。
校正者が行う緻密で繊細な仕事があるからこそ、一冊の本を手に取ることが出来ると、改めてその仕事に感心感服いたしました。
ちなみに、著者の牟田都子さんは、同じ校正者の旦那様と2ニャンで暮らしているみたいです。X(旧Twitter)で、ポストしているのを見るとホッコリしますわ。
横になってみて見えてくるものもあるんだ pic.twitter.com/7pYDjvtxLi
— 牟田都子 Satoko Muta (@s_mogura) September 6, 2024
内容:《本を愛するすべての人へ》人気校正者が、書物への止まらない想い、言葉との向き合い方、仕事に取り組む意識について——思いのたけを綴った初めての本。 〈本を読む仕事〉という天職に出会って10年と少し。 無類の本読みでもある校正者・牟田都子は、今日も原稿をくり返し読み込み、書店や図書館をぐるぐる巡り、丹念に資料と向き合う。 1冊の本ができあがるまでに大きな役割を担う校正・校閲の仕事とは? 知られざる校正者の本の読み方、つきあい方。 校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。 誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ。
【読書日記13/24’】迷路@フィリップ・マクドナルド [読書日記]
フィリップ・マクドナルド著「迷路」を読了。
冒頭に”読者への挑戦”があるミステリ。
まー挑戦されても、「こいつが犯人だろうな」くらいで当たったことはありますが、論理的な説明はできません(笑)
本作は、名探偵ゲスリン大佐が検死審問の証言記録のみを材料に真相に到達する、いわゆる安楽椅子探偵の体になっていますが、同じ条件を読者であるHCくんにも与えられているにも関わらず犯人の予想すらできませんでした。
まー殺人の動機がモヤモヤするものだったので、一般ピープルには解けないだろうなー
内容:事件の状況は、まるで小説のようだった。現場はロンドン郊外の高級住宅地、著名な実業家が自宅の書斎で殺害されたのだ。警察の捜査の結果、外部からの侵入は不可能。したがって犯人は当夜屋敷に滞在していた十人の男女の中にいることになる。被害者の家族、友人たち、そして使用人。だが、さっそく開始された検死審問では、彼らの意外な動機が次々に明らかになり、真相の究明はかえって袋小路に入りこんでしまう。苦悩するロンドン警視庁は、名探偵ゲスリン大佐に泣きついた。休暇中のゲスリンが、証言記録だけをもとに推理した、事件の驚くべき真相とは…全篇が書簡と証言記録だけで構成され、読者は探偵とまったく同じ情報を与えられる。論理的に推理をすれば真犯人に到達できるはずだ―読者に真っ向からフェアプレイの勝負を挑む、黄金時代の名作登場。
冒頭に”読者への挑戦”があるミステリ。
まー挑戦されても、「こいつが犯人だろうな」くらいで当たったことはありますが、論理的な説明はできません(笑)
本作は、名探偵ゲスリン大佐が検死審問の証言記録のみを材料に真相に到達する、いわゆる安楽椅子探偵の体になっていますが、同じ条件を読者であるHCくんにも与えられているにも関わらず犯人の予想すらできませんでした。
まー殺人の動機がモヤモヤするものだったので、一般ピープルには解けないだろうなー
内容:事件の状況は、まるで小説のようだった。現場はロンドン郊外の高級住宅地、著名な実業家が自宅の書斎で殺害されたのだ。警察の捜査の結果、外部からの侵入は不可能。したがって犯人は当夜屋敷に滞在していた十人の男女の中にいることになる。被害者の家族、友人たち、そして使用人。だが、さっそく開始された検死審問では、彼らの意外な動機が次々に明らかになり、真相の究明はかえって袋小路に入りこんでしまう。苦悩するロンドン警視庁は、名探偵ゲスリン大佐に泣きついた。休暇中のゲスリンが、証言記録だけをもとに推理した、事件の驚くべき真相とは…全篇が書簡と証言記録だけで構成され、読者は探偵とまったく同じ情報を与えられる。論理的に推理をすれば真犯人に到達できるはずだ―読者に真っ向からフェアプレイの勝負を挑む、黄金時代の名作登場。
【読書日記12/24’】怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ@森合正範 [読書日記]
森合正範著「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」を読了。
井上 尚弥。
現WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級統一王者。元WBA・WBC・IBF・WBO世界バンタム級統一王者。アジア人初、史上2人目の2階級4団体統一王者。
プロでの戦績は27戦 27勝 (24KO) 無敗。
その圧倒的な実力と完璧なボクシングスタイルから「日本ボクシング史上最高傑作」と言われ、そして、いつしかついたニックネームは「モンスター(怪物)」。
本作は、その井上尚弥にフォーカスを当てた作品ではなく、彼と拳を交わせ叩きのめされた”敗者”への取材が中心となっています。
”敗者”への取材という視点が斬新だったし、本当に取材させてもらえるのだろうか?という不安を抱えた著者・森合正範の心情も垣間見れ、かつ、その取材力に感嘆しました。
読み進むうちに井上尚弥と闘った彼らは決して”敗者”ではなく”勇者”であったということ。
そして、改めて井上尚弥の”怪物”さを感じた作品でありました。
内容:「みんな、井上と闘うなら今しかない。来年、再来年になったらもっと化け物になる」 2013年4月、井上尚弥のプロ3戦目の相手を務めた佐野友樹はそう叫んだ。 それからわずか1年半、世界王座を計27度防衛し続けてきたアルゼンチンの英雄オマール・ナルバエスは、プロアマ通じて150戦目で初めてダウンを喫し2ラウンドで敗れた。「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」。 2016年、井上戦を決意した元世界王者・河野公平の妻は「井上君だけはやめて!」と夫に懇願した。 WBSS決勝でフルラウンドの死闘の末に敗れたドネアは「次は勝てる」と言って臨んだ3年後の再戦で、2ラウンドKOされて散った。 バンタム級とスーパーバンタム級で2階級4団体統一を果たし、東京ドームでルイス・ネリ戦を倒した「モンスター」の歩みを、拳を交えたボクサーたちが自らの人生を振り返りながら語る。第34回ミズノスポーツライター賞最優秀賞に輝いたスポーツノンフィクション。 【本書の内容】 プロローグ 第一章 「怪物」前夜(佐野友樹) 第二章 日本ライトフライ級王座戦(田口良一) 第三章 世界への挑戦(アドリアン・エルナンデス) 第四章 伝説の始まり(オマール・ナルバエス) 第五章 進化し続ける怪物(黒田雅之) 第六章 一年ぶりの復帰戦(ワルリト・パレナス) 第七章 プロ十戦目、十二ラウンドの攻防(ダビド・カルモナ) 第八章 日本人同士の新旧世界王者対決(河野公平) 第九章 ラスベガス初上陸(ジェイソン・モロニー) 第十章 WBSS優勝とPFP一位(ノニト・ドネア) 第十一章 怪物が生んだもの(ナルバエス・ジュニア) エピローグ
井上 尚弥。
現WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級統一王者。元WBA・WBC・IBF・WBO世界バンタム級統一王者。アジア人初、史上2人目の2階級4団体統一王者。
プロでの戦績は27戦 27勝 (24KO) 無敗。
その圧倒的な実力と完璧なボクシングスタイルから「日本ボクシング史上最高傑作」と言われ、そして、いつしかついたニックネームは「モンスター(怪物)」。
本作は、その井上尚弥にフォーカスを当てた作品ではなく、彼と拳を交わせ叩きのめされた”敗者”への取材が中心となっています。
”敗者”への取材という視点が斬新だったし、本当に取材させてもらえるのだろうか?という不安を抱えた著者・森合正範の心情も垣間見れ、かつ、その取材力に感嘆しました。
読み進むうちに井上尚弥と闘った彼らは決して”敗者”ではなく”勇者”であったということ。
そして、改めて井上尚弥の”怪物”さを感じた作品でありました。
内容:「みんな、井上と闘うなら今しかない。来年、再来年になったらもっと化け物になる」 2013年4月、井上尚弥のプロ3戦目の相手を務めた佐野友樹はそう叫んだ。 それからわずか1年半、世界王座を計27度防衛し続けてきたアルゼンチンの英雄オマール・ナルバエスは、プロアマ通じて150戦目で初めてダウンを喫し2ラウンドで敗れた。「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」。 2016年、井上戦を決意した元世界王者・河野公平の妻は「井上君だけはやめて!」と夫に懇願した。 WBSS決勝でフルラウンドの死闘の末に敗れたドネアは「次は勝てる」と言って臨んだ3年後の再戦で、2ラウンドKOされて散った。 バンタム級とスーパーバンタム級で2階級4団体統一を果たし、東京ドームでルイス・ネリ戦を倒した「モンスター」の歩みを、拳を交えたボクサーたちが自らの人生を振り返りながら語る。第34回ミズノスポーツライター賞最優秀賞に輝いたスポーツノンフィクション。 【本書の内容】 プロローグ 第一章 「怪物」前夜(佐野友樹) 第二章 日本ライトフライ級王座戦(田口良一) 第三章 世界への挑戦(アドリアン・エルナンデス) 第四章 伝説の始まり(オマール・ナルバエス) 第五章 進化し続ける怪物(黒田雅之) 第六章 一年ぶりの復帰戦(ワルリト・パレナス) 第七章 プロ十戦目、十二ラウンドの攻防(ダビド・カルモナ) 第八章 日本人同士の新旧世界王者対決(河野公平) 第九章 ラスベガス初上陸(ジェイソン・モロニー) 第十章 WBSS優勝とPFP一位(ノニト・ドネア) 第十一章 怪物が生んだもの(ナルバエス・ジュニア) エピローグ
【読書日記11/24’】鬼の筆: 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折@春日太一 [読書日記]
春日太一著「鬼の筆: 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」を読了。
脚本家・橋本忍の名前は知らないけれど、彼が書いた脚本の映画を観たという方は多いと思います。代表作だけあげても「七人の侍」「白い巨塔」「砂の器」などなど。
個人的にはハリウッドも模倣した「七人の侍」そして原作を昇華させた「砂の器」は大好きな作品です。
本作の著者・春日太一は数年に渡り脚本家・橋本忍に張り付き取材し、黒澤明との確執、後輩・山田太一の育成、松本清張原作との出会い等詳細な取材、そして家族とのコミュニケーションから得た貴重なデータなど、昭和日本映画史の巨人に迫っていく様は読み応えがありました。
ちなみに、本作は第55回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。
内容:”全身脚本家”驚愕の真実!『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など、歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。 著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族から託された膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。全480ページ。第55回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
脚本家・橋本忍の名前は知らないけれど、彼が書いた脚本の映画を観たという方は多いと思います。代表作だけあげても「七人の侍」「白い巨塔」「砂の器」などなど。
個人的にはハリウッドも模倣した「七人の侍」そして原作を昇華させた「砂の器」は大好きな作品です。
本作の著者・春日太一は数年に渡り脚本家・橋本忍に張り付き取材し、黒澤明との確執、後輩・山田太一の育成、松本清張原作との出会い等詳細な取材、そして家族とのコミュニケーションから得た貴重なデータなど、昭和日本映画史の巨人に迫っていく様は読み応えがありました。
ちなみに、本作は第55回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。
内容:”全身脚本家”驚愕の真実!『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など、歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。 著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族から託された膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。全480ページ。第55回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
【読書日記10/24’】日本の公安警察@青木理 [読書日記]
青木理著「日本の公安警察」を読了。
日本の司法制度は「警察」が被疑者を捕まえ、「検察」が被告人を起訴し、「裁判所」が有罪か無罪かを判断して刑罰を言い渡し執行する、という役割分担になっています。
しかし、最近は行政府は腐敗し、警察・検察は結託し”大川原化工事件”のような冤罪をでっち上げ、鹿児島県警の不祥事隠蔽など、そして検察官の度重なる失態など、司法も地に落ちている感じがします。
著者の青木理はそんな警察や検察に鋭く切り込むジャーナリスト。
本作でも知られざる公安警察の過去から現在、そしてその実態に深く迫っています。我々一般国民の知られざる公安警察。興味深く読ませてくれた一冊でした。
内容:オウム・革マル派との“隠された戦い”とは? 監視・尾行・盗聴・スパイ養成の実践法は? 誰にも書けなかった“治安活動”の真実! 公安警察の暗部 東京・中野のJR中野駅にほど近い一角。 コンサート会場や結婚式場として有名な中野サンプラザの裏手あたりに広大な敷地を有する警察大学校がある。 この敷地内にかつて、古びた木造の建物があった。 入り口には縦長の看板。 黒い字で「さくら寮」と記されていた。 こここそが戦後間もなくから日本の公安警察に存在する秘密部隊の本拠地だった。 その組織は「四係」と呼ばれていた。 地方分権を建て前としながら、中央集権的な機構を持つ公安警察の中枢として全国の公安警察官の活動を指揮・管理する裏組織。 いつしか警察内や関係者の間では「サクラ」の隠語を冠されて呼称されるようになる。 戦後公安警察の暗部を辿っていくと、糸は全てが中野へと収斂されていく。 「サクラ」とはいったい何をなしてきた組織なのか。
日本の司法制度は「警察」が被疑者を捕まえ、「検察」が被告人を起訴し、「裁判所」が有罪か無罪かを判断して刑罰を言い渡し執行する、という役割分担になっています。
しかし、最近は行政府は腐敗し、警察・検察は結託し”大川原化工事件”のような冤罪をでっち上げ、鹿児島県警の不祥事隠蔽など、そして検察官の度重なる失態など、司法も地に落ちている感じがします。
著者の青木理はそんな警察や検察に鋭く切り込むジャーナリスト。
本作でも知られざる公安警察の過去から現在、そしてその実態に深く迫っています。我々一般国民の知られざる公安警察。興味深く読ませてくれた一冊でした。
内容:オウム・革マル派との“隠された戦い”とは? 監視・尾行・盗聴・スパイ養成の実践法は? 誰にも書けなかった“治安活動”の真実! 公安警察の暗部 東京・中野のJR中野駅にほど近い一角。 コンサート会場や結婚式場として有名な中野サンプラザの裏手あたりに広大な敷地を有する警察大学校がある。 この敷地内にかつて、古びた木造の建物があった。 入り口には縦長の看板。 黒い字で「さくら寮」と記されていた。 こここそが戦後間もなくから日本の公安警察に存在する秘密部隊の本拠地だった。 その組織は「四係」と呼ばれていた。 地方分権を建て前としながら、中央集権的な機構を持つ公安警察の中枢として全国の公安警察官の活動を指揮・管理する裏組織。 いつしか警察内や関係者の間では「サクラ」の隠語を冠されて呼称されるようになる。 戦後公安警察の暗部を辿っていくと、糸は全てが中野へと収斂されていく。 「サクラ」とはいったい何をなしてきた組織なのか。
【読書日記9/24’】天気でよみとく名画-フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ@長谷部愛 [読書日記]
長谷部愛著「天気でよみとく名画-フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ」を読了。
著者の長谷部愛さんは気象予報士で、HCくんが良く聴くラジオにも時々出てきて、本作の話をしていて興味がわいたので図書館で予約して手に取りました。
長谷部さん自身、東京造形大学で「天気とアート」の研究・講義を行っていて、アートと対話する気象予報士として、執筆・講演・解説なども行っています。
天気と美術がどう結びつくんだろう?って感じですが、この著書ではモネと寒波や北斎の雲などについて深掘りしたり、漫画・鬼滅の刃に描かれている空などを、気象予報士としての視点から書かれていて面白く、かつ、興味深かったです。
しかし、気象って奥が深く、人々の生活に密接しるって改めて知ることが出来た一冊でした。
内容:「悪魔の風」の正体は局地風(ゴッホ《星月夜》)、描かれた雲から降水確率もわかる(フェルメール《デフルト眺望》)、天気の表現でわかる作家の出身地などなど、古今東西の名画やマンガを天気という視点で見直すと、意外な発見に満ちている。画家たちの観察眼は気象予報士よりも凄い!? さらに、同じ地域でも時代の異なる作品を比較することで、温暖化などの変化に気づくことだってできる。現役気象予報士による美大の人気講義を再現。 1章 低地・高緯度のオランダが育んだ「光の絵画」 2章 島国イギリスの気象が生んだ「風景画」 3章 温暖なフランスだからこそ印象派が花開く 4章 豊かな日本の雲と雨 補章 漫画、アニメで描かれる気象現象 気象用語解説
著者の長谷部愛さんは気象予報士で、HCくんが良く聴くラジオにも時々出てきて、本作の話をしていて興味がわいたので図書館で予約して手に取りました。
長谷部さん自身、東京造形大学で「天気とアート」の研究・講義を行っていて、アートと対話する気象予報士として、執筆・講演・解説なども行っています。
天気と美術がどう結びつくんだろう?って感じですが、この著書ではモネと寒波や北斎の雲などについて深掘りしたり、漫画・鬼滅の刃に描かれている空などを、気象予報士としての視点から書かれていて面白く、かつ、興味深かったです。
しかし、気象って奥が深く、人々の生活に密接しるって改めて知ることが出来た一冊でした。
内容:「悪魔の風」の正体は局地風(ゴッホ《星月夜》)、描かれた雲から降水確率もわかる(フェルメール《デフルト眺望》)、天気の表現でわかる作家の出身地などなど、古今東西の名画やマンガを天気という視点で見直すと、意外な発見に満ちている。画家たちの観察眼は気象予報士よりも凄い!? さらに、同じ地域でも時代の異なる作品を比較することで、温暖化などの変化に気づくことだってできる。現役気象予報士による美大の人気講義を再現。 1章 低地・高緯度のオランダが育んだ「光の絵画」 2章 島国イギリスの気象が生んだ「風景画」 3章 温暖なフランスだからこそ印象派が花開く 4章 豊かな日本の雲と雨 補章 漫画、アニメで描かれる気象現象 気象用語解説
【読書日記8/24’】互換性の王子@雫井脩介 [読書日記]
雫井脩介著「互換性の王子」を読了。
物語の冒頭で主人公の準大手飲料メーカー・シガビオ御曹司・志賀成功が何者かに監禁。これは、ミステリーかと思いきや、企業小説、恋愛要素あり、家族再生のお話でした。
著者の雫井脩介は映像化にもなった「犯人に告ぐ」「検察側の罪人」など、重厚なミステリーを書く作家だと思っていましたが、こういった小説も書くなんて驚きもあり、かつ、作品自体読み応えがありました。
なかなかのエンターテイメント作品。面白かったです(^.^)
あらすじ: 準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が何者かによって別荘に監禁された。 彼は取締役就任と、意中の女性・山科早恵里との交際を目前にしていた。 半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。 そして実行は早恵里にも近付こうとしている。 「奪われたものは、奪い返さなければ」 成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走するが。 異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らす、一気読み必至のエンターテインメント!
物語の冒頭で主人公の準大手飲料メーカー・シガビオ御曹司・志賀成功が何者かに監禁。これは、ミステリーかと思いきや、企業小説、恋愛要素あり、家族再生のお話でした。
著者の雫井脩介は映像化にもなった「犯人に告ぐ」「検察側の罪人」など、重厚なミステリーを書く作家だと思っていましたが、こういった小説も書くなんて驚きもあり、かつ、作品自体読み応えがありました。
なかなかのエンターテイメント作品。面白かったです(^.^)
あらすじ: 準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が何者かによって別荘に監禁された。 彼は取締役就任と、意中の女性・山科早恵里との交際を目前にしていた。 半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。 そして実行は早恵里にも近付こうとしている。 「奪われたものは、奪い返さなければ」 成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走するが。 異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らす、一気読み必至のエンターテインメント!
【読書日記7/24’】ちぎれた鎖と光の切れ端@荒木あかね [読書日記]
荒木あかね著「ちぎれた鎖と光の切れ端」を読了。
2022年デビュー作「此の世の果ての殺人」で第68回江戸川乱歩賞を受賞した著者の受賞後第一作。
デビュー作では世紀末の世界とミステリーを融合させた奇想天外な設定でしたが、本作ではアガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」をリスペクトした本格ミステリーとなっています。
ただし、そこに色んなエッセンスをふりかけてはいますけどね。
ちなみに著者は、本格ミステリーの確かな技法と心理に深く分け入った人間ドラマを描くことから「Z世代のアガサ・クリスティー」と呼ばれているそうです。
期待できる若手ミステリー作家が登場した予感がしますわ(*^^)v
内容:復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。 さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる。 2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。 そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった。
2022年デビュー作「此の世の果ての殺人」で第68回江戸川乱歩賞を受賞した著者の受賞後第一作。
デビュー作では世紀末の世界とミステリーを融合させた奇想天外な設定でしたが、本作ではアガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」をリスペクトした本格ミステリーとなっています。
ただし、そこに色んなエッセンスをふりかけてはいますけどね。
ちなみに著者は、本格ミステリーの確かな技法と心理に深く分け入った人間ドラマを描くことから「Z世代のアガサ・クリスティー」と呼ばれているそうです。
期待できる若手ミステリー作家が登場した予感がしますわ(*^^)v
内容:復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。 さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる。 2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。 そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった。
タグ:荒木あかね ちぎれた鎖と光の切れ端
【読書日記6/24’】頰に哀しみを刻め@S・A コスビー [読書日記]
S・A コスビー著「頰に哀しみを刻め」を読了。
「このミステリーがすごい! 2024年版」海外編第1位に輝いた作品。
新時代のハードボイルド・クライムサスペンスって感じでした。
また、人種やLGBTQなど現代の社会のことも組み入れ、重厚な内容に昇華させていましたね。
ただ、若干後半のご都合的なところは残念でしたが、著者のS・A コスビーは2020年代のクライムサスペンスけん引する作家であることは間違いなく、著者の他の作品も読んでみたくなりました。
内容:殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき。
「このミステリーがすごい! 2024年版」海外編第1位に輝いた作品。
新時代のハードボイルド・クライムサスペンスって感じでした。
また、人種やLGBTQなど現代の社会のことも組み入れ、重厚な内容に昇華させていましたね。
ただ、若干後半のご都合的なところは残念でしたが、著者のS・A コスビーは2020年代のクライムサスペンスけん引する作家であることは間違いなく、著者の他の作品も読んでみたくなりました。
内容:殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき。
【読書日記5/24’】8つの完璧な殺人@ピーター・スワンソン [読書日記]
ピーター・スワンソン著「8つの完璧な殺人」を読了。
ミステリーの古典をオマージュした一冊。また、ミステリー小説としても予測不能な展開で秀逸な作品でした。
著者のピーター・スワンソンはミステリーマニアでもあって、過去作品の「そしてミランダを殺す」などの作品も、ミステリーの巨匠たちへの愛が感じられました。
物語は、主人公でミステリー専門書店の店主マルコムが選んだ「8つの完璧な殺人」が登場する作品を模倣した殺人事件が起こったことから、マルコムは捜査に加わることになり、やがて真相が・・・って感じです。主人公マルコムは著者をモデルとしたような感じで描かれていましたね^^
ちなみに、マルコムが厳選した8作品は、「赤い館の殺人」(A.A.ミルン)「殺意」(フランシス・マイルズ)「ABC殺人事件」(アガサ・クリスティー)「殺人保険」(ジェイムズ・M・ケイン)「見知らぬ乗客」(パトリシア・ハイスミス)「溺殺者」(ジョン・D・マクドナルド)「死の罠」(アイラ・レヴィン)「シークレット・ヒストリー」(ドナ・タート)。
HCくん的にはエラリー・クイーンの作品があってもよかったと思いますが、プロット的に”完璧”とは言えないのかな。
ただし、本作はかなり上記作品などのネタばれがありますので、最低限アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」「ABC殺人事件」、A.A.ミルン「赤い館の秘密」は読んどいたほうがいいですね。
内容:ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年前、犯罪小説史上もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な“完璧な殺人”が登場する8作を選んで、店のブログにリストを掲載した。『赤い館の秘密』、『ABC殺人事件』、『見知らぬ乗客』……。捜査官によると、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従っているのか? ミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作!
ミステリーの古典をオマージュした一冊。また、ミステリー小説としても予測不能な展開で秀逸な作品でした。
著者のピーター・スワンソンはミステリーマニアでもあって、過去作品の「そしてミランダを殺す」などの作品も、ミステリーの巨匠たちへの愛が感じられました。
物語は、主人公でミステリー専門書店の店主マルコムが選んだ「8つの完璧な殺人」が登場する作品を模倣した殺人事件が起こったことから、マルコムは捜査に加わることになり、やがて真相が・・・って感じです。主人公マルコムは著者をモデルとしたような感じで描かれていましたね^^
ちなみに、マルコムが厳選した8作品は、「赤い館の殺人」(A.A.ミルン)「殺意」(フランシス・マイルズ)「ABC殺人事件」(アガサ・クリスティー)「殺人保険」(ジェイムズ・M・ケイン)「見知らぬ乗客」(パトリシア・ハイスミス)「溺殺者」(ジョン・D・マクドナルド)「死の罠」(アイラ・レヴィン)「シークレット・ヒストリー」(ドナ・タート)。
HCくん的にはエラリー・クイーンの作品があってもよかったと思いますが、プロット的に”完璧”とは言えないのかな。
ただし、本作はかなり上記作品などのネタばれがありますので、最低限アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」「ABC殺人事件」、A.A.ミルン「赤い館の秘密」は読んどいたほうがいいですね。
内容:ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年前、犯罪小説史上もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な“完璧な殺人”が登場する8作を選んで、店のブログにリストを掲載した。『赤い館の秘密』、『ABC殺人事件』、『見知らぬ乗客』……。捜査官によると、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従っているのか? ミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作!