【映画鑑賞記[28]】風立ちぬ [映画鑑賞]
「風立ちぬ」を観てかれこれ一週間が経とうとしていますが、何やらこの作品の出来栄え以外のところで、思わぬ場外戦が起こっています。
ひとつは、隣国などから主人公・堀越二郎に戦争に協力することへの葛藤が見られないということ。
ふたつめは、喫煙シーンが多いという事で、「日本禁煙学会」が、喫煙シーンが多いのは国際条約違反だとクレームをつけていること。
僕は、戦争を美化するつもりも喫煙を促進するつもりも全くありません。
この映画は、たまたま激動の昭和に生まれ合わせた、飛行機をこよなく愛する一人の日本人エンジニアの愛と青春を描いた作品であって、それ以上でもそれ以下でもなく、ふたつの批判は論の外としかいいようがありません。
この映画に関しては、ブログ友の親知らずさんやguranさんのようにシンプルに楽しみ感動し涙してもらいたい作品です。
そして、この映画で伝えたかったことは、荒井由美”ひこうき雲”の下記の歌詞そのものだったのではと個人的に思っています。
”空に 憧れて 空を かけてゆく あの子の 命は ひこうき雲”
ちなみに、僕が一番心に残っているシーンは、二郎と菜穂子の祝言のシーン。特に、仲人の奥さんの胆が座ったところは昭和女子の心意気を感じました。
ファンタジー物ではない宮崎駿の渾身の一作。シンプルに観てもらいたい作品です。
解説: 宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ。美しい飛行機を製作したいという夢を抱く青年が成し遂げたゼロ戦の誕生、そして青年と少女との出会いと別れをつづる。主人公の声には『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明監督を抜てき。ほかに、瀧本美織や西島秀俊、野村萬斎などが声優として参加する。希代の飛行機を作った青年の生きざまと共に、大正から昭和の社会の様子や日本の原風景にも注目。
あらすじ: 大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。
庵野どうでした?
by pn (2013-08-16 08:58)
そうそう、菜穂子がサナトリウムから抜け出して
最期の時期を一緒に過ごしている時に、その横で二郎が設計図を描きながら
「タバコ吸って良い?」と聞いて、「良いよ。」と答えるシーンがありました。
娘達と3人で「えーーー?!」って言っちゃいました。
確かに医学的には間違っています。
でも菜穂子の余命もあとわずか。菜穂子は二郎のライフスタイルを変えたり
邪魔をしたくない。ただ、側にいて残り少ない時間を共有したかっただけ。
医学的に良いとか悪いとか、マナーがどうだとか、そういう次元を超えた愛が
そこにあったという事を表しているのだと思います。
それを言ったら、他にもいけない事が色々ある。
菜穂子だって、本当はサナトリウムを抜け出してきた時点で間違っている。
でも周囲の人達もそれを知りつつ誰も連れ戻そうとはしない。
二郎が結核にかかるかも知れないリスクも充分ある。
しかし先が知れているからこそ、残った時間を濃厚に過ごしたかった。
それを黒川夫妻も分かっていて、敢えて家の1部に住まわせた。
強い愛は、時にモラルとか人道を外れる事がある。
愛に溺れてドンドン堕ちて行くのは周囲も批判したりやめなさいと言う。
二郎と菜穂子は色々間違っているが、真面目に愛し合っている。
最期は菜穂子が自らサナトリウムに戻って死んでしまう。
それを二郎も止めもしないし追いかけもしない。
最期の最後で堕ちないで守っている部分があるから周囲も許している。
それだけ強い愛だったという事を暗に言っているシーンだと思いました。
表だってあからさまに出さないけど、心の深い所で結ばれていたのですね。
我が家でも帰宅後、このシーンについて、そう話し合って納得しましたよ。
喫煙のシーンだけ、あるいは戦争にかかわってしまう事のみを部分的に
批判するのは、この映画制作者の思いを読み取っていないので失礼です。
もしかしたら本気で人を愛した事が無いのか?
by 親知らず (2013-08-16 09:22)
pnさん
序盤は???でしたが、不思議と耳に馴染んできて、起用した宮崎さん他の眼力に脱帽です。
by HOTCOOL (2013-08-16 18:16)
映画というものは製作者の意図が汲み取れるか、伝わるかどうかという事が大切なので、その批判をしてる人たちは、可愛そうな事に汲み取れなかったんですね。
HOTCOOLさんの感想とと親知らずさんのコメントで、シーンが見えて来るようです。
by mutumin (2013-08-16 18:34)
親知らずさん
長文コメントありがとうございます。
今の世の中と比べると矛盾していたりマナーに反しているシーンが多々ありましたが、当時の日本人は、それぞれ自分の持ち場で精一杯戦った、戦っていたと思います。戦争の勝ち負けでは語れない何かがあったと確信しています。
この思いが戦後の驚異的な復興の原動力になったと思うし、東日本大震災で傷ついた日本の復興を宮崎駿氏は描きたかったのではないかと思います。
また、当時の日本人は恋愛に不器用であったと思います。ただ、この2人は不器用以上のこれまた何かを持っていて、それが時を越えて我々に人を愛することは何かを教えてくれたんだと感じました。
親知らずさんがおしゃるとおり、色々何癖つけてる方々は作品の本質を見抜いていないですね。それも、また寂しい限りです。
by HOTCOOL (2013-08-16 18:38)
私もゼロのファンでした。
でもアレはゼロと似ているけれど違う
基本的に娯楽映画ですよね?
記録や史実とつき合わせない方がいいと思う
by パウロ (2013-08-16 20:25)
作品の本当の意味を理解しようとせず、
そんなことを言う方々が居るのですね。
刑事ドラマでも、渋くタバコを吸っていた刑事が、
事件を知ってかけつけるために、慌てて車に乗り込むシーンで、
丁寧にタバコを携帯吸い殻入れに入れて、
きちんとシートベルトを着用してから出発します。
いろいろなところからクレームがついて、
映画やドラマも作りにくいことでしょうね(笑)
by まほ (2013-08-17 03:12)
パウロさん
基本的には激動の昭和に生きたエンジニアの愛と青春物語だと思います。
by HOTCOOL (2013-08-17 05:21)
まほさん
まー冷静に考えれば、これに便乗した禁煙促進PRに打って出たと思えなくもないですね。
映画やドラマで喫煙マナーを学ばせることも出来ると考えますがね。
by HOTCOOL (2013-08-17 05:58)
観ましたか~
お袋さんがうちの子供達と観に行く約束をしていたので
私は観に行けないかもしれないですよ
喫煙シーンにクレームですか.....
年がら年中その事ばかり考えていると
その事のみが気になってしまうんでしょうかね
笑っちゃいますね
by moto_mach (2013-08-17 06:16)
mutuminさん
なんか的外れなことばっかり言う方々もいるんですね。作品自体を楽しめばいいんです!!
by HOTCOOL (2013-08-17 08:35)
moto_machさん
正直言って、小学生低学年から中学年はつまらないかもしれません。
団体さん的にはクレームつけなきゃ存在価値がないのかもしれません。けど、映画などの場合はもう少し客観的にみてもよいと思います。
by HOTCOOL (2013-08-17 08:39)