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【読書日記22/23’】明治大正昭和 化け込み婦人記者奮闘記@平山亜佐子 [読書日記]

平山亜佐子著「明治大正昭和 化け込み婦人記者奮闘記」を読了。
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「化け込み」とは、日本国語大辞典によると”本来の素性を隠して、すっかり別人の様を装う。別人になりすます。」こと。つまり、変装してさまざまな場所に入り込み、内実を記事に書いてすっぱぬくという手法、だそうです。
本作は、明治・大正・昭和と3時代に渡って活躍した婦人記者たちの奮闘記となっています。当時、婦人記者の社会的地位は高くなく、”号外に関係ない”と言われていたそうです。
そんな時代に彼女らが特ダネをとるために行ったのは、上述にある「化け込み」。時代が時代だけに、化けこんだとしてもかなり危ない橋を渡ることもあったそうです。本作では、「化け込み」の元祖から進化系の婦人記者4人を中心に書かれています。
とにかく、著者の平山亜佐子の取材力は凄いですね。ただ、読み物としては弱いところがありましたが、それを上回る取材力に敬意を表したいと思います。

内容:型破りに生き抜いた、女たちの仕事史。 号外に関係のない婦人記者 日本の新聞黎明期。女だからと侮られ、回ってくるのは雑用ばかり。 婦人記者たちは己の体一つで、変装潜入ルポ〈化け込み記事〉へと向かっていった── 観察力が光る文才、鉄砲玉のような行動力、私生活でもまばゆいばかりに破天荒。 徒花(あだばな)とされ軽視されてきた彼女たちの仕事を時を超えて再評価し、 型破りな生きざますらも肯定する、唯一無二の近現代ノンフィクション!
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【読書日記21/23’】狂人邸の殺人@今村昌弘 [読書日記]

今村昌弘著「狂人邸の殺人」を読了。
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「屍人荘の殺人」「魔眼の匣の殺人」に続く、剣崎比留子&葉村譲シリーズ第三弾。
このシリーズは従来のミステリーとの差別化が図られていて、その大きな特徴は「おおがかりなクローズドサークル(密室)」「非人間」でしょうか。
「非人間」というのは一作目の「屍人荘の殺人」ではゾンビ、二作目の「魔眼の匣の殺人」では預言者、そして本作では隻腕の超巨人・・・
その「非人間」たちが「おおがかりなクローズドサークル」を作りあげ、挙句殺人事件にまで発展するのだから、救いがいがないんだけど、最終的には逃げ生き延びるがテーマになっていますね。
本作も班目機関という巨悪な組織の戦いが裏テーマとなっていますが、終わり方からいって、まだまだ戦いは続きそうですね。続編が待ち遠しいですわ(^.^)



内容:「魔眼の匣の殺人」から数ヶ月後――。神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟"として人気を博す地方テーマパークだった。園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在"による無慈悲な殺戮が待ち受けていた。待望のシリーズ第3弾、ついに刊行!
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【読書日記20/23’】キュレーターの殺人@N.W.クレイヴン [読書日記]

N.W.クレイヴン著「キュレーターの殺人」を読了。
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「ストーンサークルの殺人」「ブラックサマーの殺人」の刑事・ワシントン・ポー・シリーズの第三作。
今回は人体連続切断事件の背後に潜む「キュレーター」という犯罪者が登場。「キュレーター」って、博物館や美術館などで資料収集、保管、展示、調査研究などに携わる専門職員のことで、日本では「学芸員」が一般的ですね。
その「キュレーター」が操る犯罪者たち、そして本丸キュレーターと本シリーズでお馴染みのワシントン・ポーの仲間であるステファニー・フリン警部、ティリー・ブラッドショー分析官が対峙します。
二転三転いや四転あるので、一字一句見逃すことのできない作品になっています。
ちなみに、今月ワシントン・ポー・シリーズ第4弾が刊行するとのこと。こちらも楽しみなので、
早めに図書館の予約しようっと[わーい(嬉しい顔)]

内容:クリスマスの英国カンブリア州で、切断された人間の指が次々発見された。プレゼントのマグカップのなか、ミサが行われた教会、そして精肉店の店内で――。現場には「#BSC6」という謎めいた文字列が。三人の犠牲者の身元を明らかにしようと国家犯罪対策庁のワシントン・ポー刑事とステファニー・フリン警部、ティリー・ブラッドショー分析官らが捜査に乗り出す。だが彼らはまだ知らない。この連続殺人の背後に想像を超える巨悪「キュレーター」が潜んでいることを……。ポーやティリー、フリンたちが相対する敵の正体とは!? 驚愕必至のシリーズ第三作。
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【読書日記19/23’】ブラックサマーの殺人@N.W.クレイヴン [読書日記]

N.W.クレイヴン著「ブラックサマーの殺人」を読了。
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英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作「ストーンサークルの殺人」に続く、ワシントン・ポー・シリーズの2作目。
トリック的にはちょっと無理のある感じでしたが、話の構成とかもって行き方は本作のほうが良い感じがしました。結構、ハードボイルドな面もあったしね。2作目で少しコツをつかんだ感じで、読み手もそれを感じながらページをめくる手が止まりませんでしたね。
また、主人公の刑事ポーと相棒の分析官ブラッドショーとの関係性も1作目より密になった感じがして、このコンビワークのこれからも読んでいきたいな。
しかし、本作で刑事ポーが「シェフにはサイコ野郎が多い」(英国において)というセリフがあるけど、これはホントなのかしらんと、思ってしまいましたわ^^;

内容:かつて刑事ポーによって一人の男が刑務所送りにされた――カリスマシェフとして名声を誇ったジャレド・キートン。 彼は娘のエリザベスを殺した罪に問われたのだ。だが六年後のいま、その娘が生きて姿を現した! キートンは無実なのか? あらゆる証拠が冤罪を示し、窮地に立たされたポーを助けるべく、分析官のブラッドショーが立ち上がる。強烈な展開が読者を驚倒させる、英国ミステリ・シリーズの第二作。
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【読書日記18/23’】日本共産党 ―「革命」を夢見た100年 ―@中北浩爾 [読書日記]

中北浩爾著「日本共産党 ―「革命」を夢見た100年 ―」を読了。
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はじめに断っておきますが、私は共産主義でも日本共産党支持者でもありません。
ただ、昨年2022年で結党100年を迎えた日本で自民党より古い歴史を持っている政党にも関わらず、一度も政権についたことがない、かつ、最近は選挙で負け続けているのに党首がまったく責任をとらない、責任論が浮上しないこの党に興味があったのです。
また、ラジオで著者の中北浩爾氏が本著、日本共産党ついて語っていたのが面白くて手にとりました。
難しかったけど、日本共産党の100年の党内・党外の”抗争”などが丁寧に書かれていて、読みがいがありましたね。
この本と対になる「自民党―「一強」の実像」って本もお書きになっているので、これも読んでみたいですね。

内容:戦前から高度成長期にかけて多くの若者や知識人を惹きつけ、巨大な政治的磁場を作った日本共産党。東欧革命・ソ連崩壊などで深刻な打撃を受けたが、しぶとく生き残り、近年、野党共闘による政権交代を目標に据える。政権を担える事実上の社会民主主義政党になったのか、今なお暴力革命を狙っているのか。本書は、一貫して「革命」を目指しつつも大きく変化した百年の歴史を追い、国際比較と現状分析を交え同党の全貌を描く。
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【読書日記17/23’】これはちゃうか@加納愛子 [読書日記]

加納愛子著「これはちゃうか」を読了。
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著者の加納愛子は女性漫才コンビ・Aマッソのネタ担当。彼女達の漫才は見たことありませんが、なにかの番組でコメンテーターで彼女が出ていた時、結構真っ当なことをコメントしていたので、気になっていたのです。
そんな加納愛子が小説を書いたと新聞の書評欄に載っていたので、図書館で借りてきました。図書館で予約して三か月以上経って手元にきたので、面白いのかなと期待していましたが、ちょっとHCくんには合わなかったな。文体とか言葉回しかな。
ということで、HCくん的に”これはちゃうか”という一冊でした(爆)[ふらふら]

内容:終わりのないおしゃべり、奇想天外な町、日常から一歩はみ出したホラー、変化球のハートウォーミング。 時代の最前線で笑いをつくる著者が多彩に編み出した全6篇の陽気な作品集。 そこには“意味”も“救い”も“共感”も、あるのやらないのやら。 「元気なときに余力で、クッキーこぼしながら読んでくれたら嬉しいです」by加納愛子
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【読書日記15/23’】エアー2.0@榎本憲男 [読書日記]

榎本憲男著「エアー2.0」を読了。
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大好きな作家・榎本憲男の作品。
彼は長らく映画界に身を置き、数々の映画のプロデュースや自ら脚本を書き監督も務めたりしていました。大ヒット作「カメラを止めるな!」の監督・上田慎一郎に「カメ止め」の脚本指導もしています。
本作もプロットがしっかりしているので、冒頭からワクワク感が湧き出します。登場人物も魅力的でしたね。
今の資本主義をぶっ壊せ!がベースにありますが、現在の日本が置かれている立ち位置や腐った政治が絶妙に描かれていて読みがいがありました。
終わり方が絶妙だったので、続編を期待したいですね。

内容:完璧な市場予測で資本主義をリセットせよ! 新国立競技場の工事現場で働く中谷は、そこで不思議な老人と出会う。老人は見るからに肉体労働には向いておらず、仕事をクビになるが、彼は大穴馬券を中谷に託していた。老人が去った直後、工事現場では爆破事件が起こり、翌日馬券は見事的中する。 多額の現金を手にした中谷の前に再び老人が姿をあらわし、彼が進める壮大な計画を手伝うよう依頼される。実は老人は感情をも計算して完璧な市場予測をはじき出す「エアー」というシステムを開発しており、高級ホテルのスイートルームでエアーを操り、瞬時に巨額の富を生み出すのだった。 老人から代理人に指名された中谷は、日本政府にエアーを提供する交渉の窓口として政治家や官僚たちと会うことになる。政府が持つ、より大きなデータをインプットすることでエアーは最強になり、市場予測は完璧なものに近づく。その力に気づいた財務省の若手官僚・福田はエアーの導入を推進するが、中谷が要求してきたのは、福島の帰還困難地域を経済自由区として、自分たちにその運営を任せよというものだった。 現代日本の難題をつまびらかにし、圧倒的なスケールで展開する、一気読み必至のネオサスペンス小説。
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【読書日記16/23’】22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる@成田悠輔 [読書日記]

成田悠輔著「22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」を読了。
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著者の経歴・・・
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。
ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員 などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビューInnovators under 35 Japan・KDDI Foundation Award貢献賞など受賞。
まー所謂”天才”ってやつですなー
本作も「うーん、なるほど」って感心する箇所もありましたが、現実的に日本の政治が変わるのは、若者が選挙に行って投票率が上がり、政権与党に代わる野党が出てこないと駄目だろうな。
ただ、代わった政権もちゃんと国民がジャッジできるシステムを作らなくては、と感じました。
ちなみに著者は「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」と発言し大炎上しています。
人の生き死について軽々しく論じるのはNGだけど、これから向かう、いや向かっている高齢化社会において”老害”ってのは、ある意味社会問題になるのは間違いないでしょうね。

内容:断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。 これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命であるーー。 22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。
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【読書日記14/23’】方舟@夕木春央 [読書日記]

夕木春央著「方舟」を読了。
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2022年のミステリランキングを席巻した一冊。
登場人物が閉鎖空間に囚われた状態で殺人事件が起こり、彼らの中に犯人がいることが確定しているというのがクローズドサークルのミステリーですが、本作はこれをもうひとひねりしています。
粗々のストーリーですが、主人公の柊一は大学時代の仲間たちとある山奥に違法に造られた地下建築物を探検することになります。
この地下建築物は、過激派のアジト?犯罪組織が使ってた?いやいやカルト宗教団体?などと、とにかく悪い噂がたつ建物。
無事辿り着いて、一泊した翌朝に地震が発生し出入口が塞がれてしまいます。※クローズドサークルの完成。
さらに浸水まで始まり、いずれ地下全体が水没することは明らになります。そんな中、柊一の仲間の一人が死体で発見され・・・
ただし、地下から脱出する方法は一つだけあることが判明。そのためには、一人が犠牲にならなければいけないという状況に。※ひとひねり
他の八人は脱出できますが、犠牲者は水死はまぬがれません。それならば、殺人者を犠牲にすべきと犯人探しがはじまります。
ラストは久々に衝撃をうけましたなー まーここまでしか書けないので、興味のある方は手に取ってみてくださいませ。

内容:9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。 翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。 そんな矢先に殺人が起こった。 だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。 タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
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【読書日記13/23’】優等生は探偵には向かない@ホリー・ジャクソン [読書日記]

ホリー・ジャクソン著「優等生は探偵には向かない」を読了。
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著者のデビュー作「自由研究には向かない殺人」に続く、イギリスの小さな町リトル・キルトンのグラマースクール最上級生のピップ(ピッパ)が探偵役となるシリーズ第二作。
なぜか、冒頭で前作の事件概要が語られていて、この作品から手にとった方は前作の犯人が分かってしまう構成になっています。
本作も今を生きる若者らしく、SNSを屈指して、行方不明になった友人の兄を探していきます。当然そこには、事件も絡むんだけどね。自分も必要最低限SNSをやっていますが、色々勉強にもなる内容でした。
ただ、前作よりも面白さ緊迫感は減ったかな。
三部作のようなので、シリーズ最後の作品をどうまとめ上げるか期待したいですね。

内容:友人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が明らかに……。『自由研究には向かない殺人』待望の続編。この衝撃の結末を、どうか見逃さないでください!
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