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【読書日記12/22’】ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける@ 澤田大樹 [読書日記]

澤田大樹著「ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける」を読了。
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2021年2月、当時オリパラ組織員会の会長だった森喜朗氏はオリンピック委員会の会議中「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」などと発言。
その翌日、釈明会見に追い込まれることになりますが、全く釈明にも謝罪にもなっていない会見の中、とある記者が、「オリンピック精神に反するという話をされていましたけれども、そういった方が組織委員会の会長をされることは適任なのでしょうか」と質問。すると森氏から「さあ? あなたはどう思いますか」と逆質問で返され、そこで記者は「適任ではないと思うんですが」と答えます。
全く予想だにしなかった答えから森氏は動揺し「そ、そう、じゃあそういうふうに承っておきます」と発言。
記者はその後も質問を続けますが、女性蔑視発言に対する森氏との認識の違いは埋まりません。最後に森氏は「おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」と憤慨し、記者は「いや、何が問題と思っているかを聞きたいから、聞いているんです」と返し会見が終了。
その記者こそ、本著の著者でありTBSラジオの記者・澤田大樹。このやりとりが、SNSで拡散され澤田記者は一躍時の人に。
会見には、澤田記者の他にも他メディアの記者が大勢いましたが、ほとんどが森喜朗氏に忖度し、たわいもない質問を繰り返すだけ。澤田記者の納得がいくまで質問する、のちに「更問い」と呼ばれる質問は、世論のうねりを巻き起こしました。
皆さんも安部さんや菅さんが総理大臣の頃の記者会見を見た方がいると思いますが、質問する記者は”幹事会社”と言われる大手新聞、在京TV局の記者のみ。フリーの記者が質問する機会はほぼありません。
これでは、政府と大手マスメディアが情報をコントロールしていると疑われてもしょうがありませんね。
本作では、澤田記者の森氏との会見の詳細やラジオ局を就職先に選んだ理由、そしてラジオ愛・ラジオ論が描かれていて面白く読めました。
気概、気骨がない記者やジャーナリストが増えているのかもしれませんが、実は日本には澤田記者や荻上チキ氏、青木理氏、望月衣塑子氏、津田大介氏、安田菜津紀氏など孤軍奮闘している気概・気骨・理論をもった記者、ジャーナリストが育ってきているのも事実。
”聞く力”を持つと自負する今の総理大臣も彼らの声に耳を傾けてもらいたいわ。
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