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【読書日記19/19’】悪の五輪@月村了衛 [読書日記]

月村了衛著「悪の五輪」を読了。
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月村了衛は幅広い作家だと思います。
代表作でHCくんも大好きな「機龍警察」シリーズ、ソマリアでの陸上自衛隊の戦闘を描いた「土漠の花」、昭和・平成の日本裏面史を貫通する公安警察小説「東京輪舞」など、様々なジャンルの小説を創作しています。そして、どれもが骨太で背景も綿密に調べている感がありますね。
本作「悪の五輪」は「東京輪舞」のスピンオフという作品でしょうか。
オリンピックは公式記録映画を撮らなければならないらしいですね。前回1964年の東京オリンピックでは、巨匠・黒澤明が撮る予定でしたが途中降板。変わりに市川崑が撮ることになったのですが、その間のエピソードをヤクザ・政治家・財界・警察までをも巻き込んだエンターテイメント作品に仕上がっています。
一国にオリンピックを招致するには綺麗ごとだけでは成り立ちません。ある意味勉強になった一冊で、NHK大河ドラマ「いだてん」と比べてみるのも面白いかも。

内容:1963年3月21日、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板した。 博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、親分からの指示を受け、中堅監督の錦田を後任にねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。 オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、その下には土建業者や右翼、ヤクザ、さらには警察までもが蠢いており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっている。 稀郎は記録映画の監督選定に権限を持つ委員たちの周辺を洗い、金や女を使って言うことを聞かせようとする。 東京が、日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京オリンピックをモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。
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