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【読書日記4/19’】東京輪舞(ロンド)@月村了衛 [読書日記]

月村了衛著「東京輪舞(ロンド)」を読了。
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田中角栄。最終的には罪人になって、その波乱万丈の生涯を閉じましたが、数年前に角栄ブームがおこるなど、いまだに国民的人気は随一の政治家だと思います。HCくんも子供心に好きな政治家、総理大臣でありました。
さて、本作。公安警察を舞台にした小説です。
昭和49年夏、角栄邸を警備中に不審者と格闘、大けがを負う警視庁巡査で主人公の砂田周作を角栄自ら病院に見舞うところから物語は始まります。
その後、砂田は公安部外事1課に配属。ロッキード事件、東芝COCOM違反、ソ連崩壊、オウム真理教など昭和から平成にかけて起きた事件に関わるようになります。実際に起きた事件を題材にしているので懐かしさを感じるとともに、各々の事件にフィクションとして公安警察や外事事案の闇や腐敗、圧力などを上手く絡ませ、読み応え十分の作品に仕上がっています。
また、主人公・砂田と宿命の関係にある旧ソ連の女性諜報員・クラークとの描写は切ない恋愛小説でもありました。
田中角栄は「いい政治というのは、国民生活の片隅にあるものだ。目立たず慎ましく、国民の後ろに控えている。吹きすぎていく風。政治はそれでよい」と言っています。
平成も残り一ヶ月。角栄に象徴される昭和というフィルターを通し、平成を総括した一冊だと思います。

内容:日本裏面史を「貫通」する公安警察小説! 昭和・平成の日本裏面史を「貫通」する公安警察小説! かつて田中角栄邸を警備していた警察官・砂田修作は、公安へと異動し、時代を賑わす数々の事件と関わっていくことになる。 ロッキード、東芝COCOM、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……。 それらの事件には、警察内の様々な思惑、腐敗、外部からの圧力などが複雑に絡み合っていた――。 圧倒的スケールで激動の時代の暗闘を炙り出す、前人未踏の警察大河ミステリー!
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