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【読書日記7/18’】それまでの明日@原尞 [読書日記]

原尞著「それまでの明日」を読了。
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この日が来るのを待ってました。
実に14年間待ってました。
伝説の直木賞作家・原尞。
「愚か者死すべし」以来、14年の沈黙を破って原尞が「探偵・沢崎」とともに帰ってきました。
探偵・沢崎のシニカルな台詞、一行一行の重み、行間の凄み、どこを切り取ってもその筆力・文体には衰えを感じません。
また、探偵・沢崎も昔のまま。昭和の遺物みたいな感じですが、それがまたいい。まさに、原尞が心酔するレイモンド・チャンドラーへのオマージュとも言えますね。
そして、小説のラスト。本作の設定は2011年1月から3月。本のタイトルの意味が分かると共に、心と体が震えた一作でした。
原尞の作品を未だ読んだことのない方は、デビュー作「そして夜は蘇る」直木賞受賞作「私が殺した少女」の順で読むことをお勧めします。

内容:渡辺探偵事務所の沢崎のもとに望月皓一と名乗る金融会社の支店長が現われ、赤坂の料亭の女将の身辺調査をしてくれという。沢崎が調べると女将は去年亡くなっていた。顔立ちの似た妹が跡を継いでいるというが、調査の対象は女将なのか、それとも妹か? しかし当の依頼人が忽然と姿を消し、沢崎はいつしか金融絡みの事件の渦中に。切れのいい文章と機知にとんだ会話。時代がどれだけ変わろうと、この男だけは変わらない。14年もの歳月をかけて遂に完成した、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』に比肩する畢生の大作。

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