SSブログ

【読書日記5/18’】盤上の向日葵@柚月裕子 [読書日記]

柚月裕子著「盤上の向日葵」を読了。
004999.jpg
今、空前の将棋ブームではないでしょうか。
羽生さんの国民栄誉賞、加藤ひふみんさんのタレント広報活動そして新天才・藤井さんの登場。
そんなときに出版された本作はタイムリーな一作と言えますね。
ただし、ただの将棋ミステリーに終わらせないところが、著者・柚月裕子の凄さ。
物語は二つの時代が交差しながら進みます。
平成六年、山形県天童市。注目の若手棋士同士による対局の会場に二人の刑事がやってきます。実はその約四か月前、埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見。一緒に埋められていたのは名匠作の伝説の将棋駒。かつて棋士を目指していた佐野巡査は、県警捜査一課のベテラン刑事、石破と組んで駒の持ち主をつきとめるべく、地べたを這うような捜査を進めます。
そして、同時に進行するのは昭和四十六年から始まる一人の少年、桂介の物語。長野県諏訪市に暮らす彼は幼いうちに母を亡くし、父親からは虐待を受けて育ちます。彼を気にかけていた元教師がその人並みならぬ将棋の才能に気づき、東京へ出てプロを目指すよう助言しますが、桂介は父親から逃げられません・・・
二人の刑事による地道な捜査と謎解き、そしてそこに関わる人間ドラマは、往年の森村誠一さんの作品を彷彿させました。
特に、プロ棋士をドロップアウトし、賭けで金を稼ぐ真剣師の描写には迫力がありました。
久しぶりに、重厚な人間ドラマ派ミステリーを読みましたね。
映像化と著者の次作も楽しみであります。

内容:実業界の寵児で天才棋士。本当にお前が殺人犯なのか!? 埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが調査を開始した。それから四ヶ月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは――!? 日本推理作家協会賞作家が描く、渾身の将棋ミステリー!

nice!(14)  コメント(10) 
共通テーマ: